なめてかかってごめんなさい。。。『ハッシュパピー バスタブ島の少女』傑作でした!【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

なめてかかってごめんなさい。。。『ハッシュパピー バスタブ島の少女』傑作でした!【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし]




基本情報

日本語タイトル
『ハッシュパピー バスタブ島の少女』

原題
"BEASTS OF THE SOUTHERN WILD"

監督
ベン・ザイトリン

出演
クヮヴェンジャネ・ウォレス、ドワイト・ヘンリー

公式サイト
http://www.bathtub-movie.jp/

ストーリー
6歳の少女ハッシュパピー(クヮヴェンジャネ・ウォレス)は、“バスタブ”と呼ばれるコミュニティーで、父親のウィンク(ドワイト・ヘンリー)と暮らしている。彼らは、閉鎖的な場所であったものの穏やかな日々を送っていたが、ある晩、嵐が全てを奪い去る。突然大好きな場所や仲間を失ったハッシュパピー。途方に暮れる状況の中、ウィンクが重病であることを彼女は察知し……。(シネマトゥデイより)

予告編






感想
アカデミー賞作品賞、監督賞、主演女優賞とノミネートされた本作。
監督賞は『アルゴ』のベン・アフレックを差し置いてのノミネートで、
ベン・アフレック好きとしてはむしろ「なぜお前がきた・・・」と嫌悪感すら抱いていたほど・・・

ベン・アフレックの落選は今でも納得いってませんが、これだけは言えます。
本作『ハッシュパピー バスタブ島の少女』のベン・ザイトリン監督はそれに見合う監督をしたということ。
つまり本作はアカデミー賞主要3部門にノミネートされるに値する傑作であったと言うことです。

インディペンデント系の映画であり、しかもファンタジー色もある。
私が普段好んで見ない類の映画でもあり、食わず嫌いで先に毛嫌いしてしまってました。
参りました。本作は傑作です。涙無くして見れない見事な作品でありました。




お伽話と現実世界の間
さて、本作がどういう映画なのかというとこれ説明がすごくしにくいのです。
一番最後にシネマトゥデイさんから引用のあらすじ書いてますがそれでも不十分。
言葉で説明するのがとても難しい独特の作品なのです。

おとぎ話と現実の間と言いますか、とても不思議な雰囲気のする映画です。
映画の出来は前述の通り見事なんですが、レビューが最も書きにくい類の映画です。
なぜならその世界観あってこその感動がこの映画にはあるからです。

バスタブ島という架空に島が舞台のお話で、父子の物語が軸になります。
ハッシュパピーとは主人公の少女のことです。
ちなみに原題は全然違います。

原題は"BEASTS OF THE SOUTHERN WILD"。
つまり、"南部の野生の獣たち"というタイトルです。
これは本作に出てくる獣のこと。これもまた説明がしにくいですw

寓話と言いますか、一応本当なんですが、その獣の話が本作には出てきて、
その獣は凍った氷の中にいると言われているのです。
氷が解けた時、このバスタブ島は水没してしまい、そしてその獣が襲ってくると言われているのです。

実際映画の中でどうなったかは是非映画を観てください!
といったところですが、主人公はハッシュパピーなのでまあ一応邦題もありかなとは思います。
"南部の野生の獣たち"って何かサバイバル映画にも見えちゃいますしねw

ファンタジー系統の話も出てきますが、バスタブ島は文明社会から切り離されてる感があり、
今私たちが生きている世界以上に野生的なところです。
映画の後半はそれがより顕著に浮かび上がり、人間の本質を目撃することになります。

文明社会も時折姿を表す本作。しかしそれはほんの少しだけ。
だからこそ、このバスタブ島独特の雰囲気が浮かび上がり、
そのにいる主人公のハッシュパピーが野性的で力強く浮かび上がりるのです。

そういった不思議な感覚を持ちつつもあくまでも本作は父子の物語であり、
子である少女ハッシュパピーの成長する物語でもあります。
その姿、父子のやり取りに涙せずにはいられません。

不思議な世界観だからこそ心に触れる不思議な何かを経験することができました。



童心を思い出す
本作を鑑賞する上で童心を思い出すことはとても大切だと思いました。
なぜなら主人公ハッシュパピーの視点で描かれる物語であるからです。

私達は小さい頃って言われたこと何でも信じていました。
言われたことを素直に信じる心を持っていました。
大人が汚れているわけではありませんが疑いを持つということを大人はします。

しかし子供はまずは信じます。
冷静に考えれば非現実的な迷信だって信じてたと私は記憶してます。
それを信じることって決して馬鹿なことではなく、実は成長の糧にもなるんですよね。

感受性豊か故に様々なことを頭に入れ、そして経験していく。
その積み重ねで子供は成長をしていくんですよね。
ハッシュパピーはそれを文字通りそのまま映画内で繰り返していきます。

父子の会話においてハッシュパピーはただただ純粋に反応をします。
父の病気に対してハッシュパピーは純粋に心配し泣きじゃくります。
父の死がそこに見えてしまったら、それを乗り越えていかねばならないから乗り越えながら成長していくのです。

悲しいことが起きたらそれは辛いことですが、それも一つの成長になります。
子供心は純粋です。そして思っている以上に強いです。
本作のハッシュパピーを通じてそれを私たちは痛感し、勇気をもらいます。

それを素直に感じるために、私たち自身も童心を忘れないことが大切です。


クヮヴェンジャネ・ウォレスの演技にのめり込む
本作の主人公ハッシュパピーを演じたクヮヴェンジャネ・ウォレスちゃんは撮影時何と6歳!
史上最年少でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされました!
映画内だけでなくアカデミー賞授賞式の時のガッツポーズが可愛らしくて好印象でした。

そんな彼女の演技あってことの本作の完成度ではないかと私は思います。
ただ純粋な子供であるだけでなく、ハッシュパピーは幼いながらにして様々な決意をしていかなければならない少女。
その力強さを見事に表現していました。

史上最年少のアカデミー賞主演女優賞ノミネート、伊達じゃありません。
彼女の演技を見ることで、映画の好き嫌い置いといて勇気を貰えるのではないでしょうか。
それくらい見事な演技だったと私は思います。


希望を持つということ
本作はファンタジー色があるのですが、その先にある現実についても我々は考えなければいけません。
なぜなら本作はニューオーリンズを襲ったハリケーンのことをベースにしてるからです。
水没しかけたバスタブ島で暮らす人々はニューオーリンズの人々ということです。

当たり前の日常が自然災害によって破壊され無くなってしまう。
これは私たち日本人も東日本大震災で目の当たりにしたことです。
突然の別れがそこにはあります。生きる人、亡くなる人がそこにはいます。

残された者は生きていかなければいけません。
しかし、悲観的にだけ思ってはいけません。
悲劇も成長の糧にしなければいけません。

「何があっても私たちは生きていかなければならない」のです。

この言葉『桐島、部活やめるってよ』と同じではないですか!
そう、映画は全く異なりますがメッセージとして受け取ったものは桐島と似ているものでありました。
全く異なるのだけれど、昔を思い出して切ない気持ちも思い出すのです。

そして勇気を与えてくれる映画。
見事ではありませんか!
小さな小さな作品です。しかし大きな大きな勇気に溢れた作品です!

インディペンデント系の映画では近年ベスト級でしょう。
多くの方に是非観て欲しい映画です。