ガツンと衝撃を受け、余韻がいつまでも残る傑作『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

ガツンと衝撃を受け、余韻がいつまでも残る傑作『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし]



絶賛レビュー続出に見に行かざるを得なくなった
『ブルー・バレンタイン』のデレク・シアンフランス監督とライアン・ゴズリングの再タッグ作品です。

私が普段チェックしているTwitterのフォロワーの方々がこぞって大絶賛されてまして。それですぐチェックしたんです。
とはいっても粗筋みてもどうもストーリーの核がわからない。まあみんな絶賛してるし心配せずまずが観ようと思い劇場へ行きました。

そしたらみなさん仰るとおりの傑作だったわけでして・・・。
いや、傑作と言いますか衝撃を受け、感想に困るほどガツンとやられましたね。
劇場では泣かなかったのですが、余韻で帰りながらうるっとくるレベルでして。

本当に本当に素晴らしかったですよ。
それを整理してサクッとまとめてみます。



3つのストーリーにガツンとやられた
まず私完全に勘違いをしていたのです。
どう勘違いしていたかというと"ライアン・ゴズリング主演"と。
ライアン・ゴズリングは主演です。ただブラッドリー・クーパーも主演なのです。

しかし二人同時に出るシーンはほとんどありません。
いや、一瞬しかありません。
二人はある事件をきっかけに交差し、その後の人生に影響を及ぼしますが共演シーンは皆無なのです。

映画はまずライアン・ゴズリング演じる天才ライダーのルークのパートからスタートします。
ルークは元恋人との間に子供がいることを知り、ライダーを辞め二人と暮らそうと努力します。
しかしその願望は善悪の価値観を歪めてしまい悲劇が連鎖していくことに。

その悲劇は大いなる取り返しの付かない悲劇を生みます。
そしてここで映画は第1幕を終了し、第2幕のエピソードへと進んでいきます。
ここからはライアン・ゴズリングに変わってブラッドリー・クーパー演じるエイブリーが主人公のエピソードになります。

彼は警察官です。取り返しのつかない悲劇に警察官として巻き込まれ、その後の人生を狂わせる事態に。
第1幕のゴズリングの善悪を超えた熱いエピソードとは対照的に内的に内的に葛藤を描くこのエピソードは見ていてとても辛くもありました。
しかしそれがデレク・シアンフランス監督も映像センスもあり、心に響く場面として私たちに降り注いでくるのです。

第2幕が私は最も心を打たれました。
『世界にひとつのプレイブック』もそうでしたが、ブラッドリー・クーパー本当にいい役者です。
涙とは別の熱い感動を覚えた第2幕でした。

そして衝撃の第3幕へ映画は進み、全ての話が1つに集約されていきます。

3幕のストーリー概要に関しては細かくは書きません。
是非劇場でご覧になってほしいです。


"The Place Beyond The Pines"というタイトルの意味と"血縁"という運命
"松を超えた場所"というタイトル。
一見何を意味しているのかわかりませんよね。
映画を見ても実はこれすぐ理解できるものではないのです。

以下間違ってるかもですが、私の見解です。

"Pine"="松"という意味なわけですが、同時に"思いこがれる" "恋い慕う" "切望する"といった動詞の意味、また文学的活用として"悲しみ" "後悔" "苦しみ"といった意味を持ち合わせます。

松は木であると同時に花であります。
花言葉は「同情」「あきらめ」「逆境の望み」です。

つまり、"The Place Beyond The Pines"="苦しみ悲しさの先に"という解釈ができます。
やりすぎ解釈な気もしますが、映画のラストまさにこの言葉のとおりではないでしょうか。

私たち人間は自ら人生を切り開くことができます。
しかし過去を変えることはできず、宿命や運命というものに左右されるのも事実です。
勘当により親子の血縁関係を法律面で変えることができても血を変えることはできません。
本当の生みの親を変えることはできないのです。それは宿命であり運命なのです。

ルークとエイヴリーという二人の主人公には子供がいました。
その子供はその親の元に生まれた宿命や運命を背負うしか無いのです。
そして親も同時にその子を持った宿命や運命を背負うしか無いのです。

そういったメッセージを受け取ることができた映画でした。

しかしそれは決して悪い意味ではありません。
宿命や運命を背負いながら自らの道を切り開いていくのです。
それは逆境を伴うものでもありますが、人間逆境に立ち向かうと強くなるのです。

そして宿命や運命は自らの意思によって自ら手にすることもできます。
それは血縁関係にない子供を育てる父親のエピソードが明確に示していました。
血縁関係にない子供、妻が連れてきた前夫との子供でも愛を持って育てようとする宿命、運命を自ら持つことができるのです。

実は映画の中で一番ガツンとやられたのはここだったり。
どんなに問題児に育っても愛を持って接するその姿にやられました。


そう、この映画はそういう映画なのです。
明確なメッセージを受けることができ、映像センスや音楽センスが見事で演技も完璧。
素晴らしい映画です。しかしそこには娯楽性はありません。我慢の映画でもあるでしょう。

しかし、こういう映画は心にすっと溶けこむのです。
私はまだ結婚してません。ですので子供もいません。
きっと親になった時に見たらもっと映画が心に響くと思いました。

いつまでも大切にしたい映画がまた増えた喜びを感じています。
素敵な映画を作ってくれた関係者の方々、そしてこの映画を薦めてくれたTwitterのフォロワーのみなさんありがとうございました。



基本情報
日本語タイトル
『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』

原題
"The Place Beyond The Pines"

監督
デレク・シアンフランス監督

出演
ライアン・ゴズリング、ブラッドリー・クーパー、エヴァ・メンデス、レイ・リオッタ、ブルース・グリーンウッド

公式サイト
http://www.finefilms.co.jp/pines/

ストーリー
天才ライダーのルーク(ライアン・ゴズリング)は移動遊園地でバイクショーを行う刹那的な日々を送っていたある日、元恋人ロミーナ(エヴァ・メンデス)と再会。彼女がルークとの子どもを内緒で生んでいたことを知ると、二人の生活のためにバイクテクニックを生かして銀行強盗をするようになる。ある日銀行を襲撃したルークは逃走する際、昇進を目指す野心的な新米警官エイヴリー(ブラッドリー・クーパー)に追い込まれるが……。(シネマトゥデイより)

予告編


『君と歩く世界』でも使われた名曲"The Wolves"
本作『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』のエンディング曲