『LOOPER ルーパー』感想、不思議なループにあなたはハマるか?【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレ解説あり] - Cinema A La Carte

『LOOPER ルーパー』感想、不思議なループにあなたはハマるか?【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレ解説あり]





『LOOPER ルーパー』基本情報

タイトル
=LOOPER ルーパー

原題
=LOOPER

監督
=ライアン・ジョンソン

出演
=ジョセフ・ゴードン=レヴィット
=ブルース・ウィルス
=エミリー・ブラント
=ポール・ダノ

ストーリー
未来からタイムマシンで送られてきた標的を消す、“ルーパー”と呼ばれる殺し屋のジョー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)。ある日、ジョーのもとへ送られてきたのは、何と30年後の自分(ブルース・ウィリス)だった。ジョーは、未来の自分の殺害をためらい逃がしてしまうが、その後未来の自分から、やって来た理由を明かされ……。

予告編
http://www.youtube.com/watch?v=KWeUU9FirJs


感想「難解さの中にある面白み、好き嫌いは割れる映画かも。」

昨年アメリカで公開されてから話題沸騰で、やっと日本公開を迎えた本作。人気絶頂のジョセフ・ゴードン=レヴィット主演というだけで見るのは確定でしたが、SF、タイムマシンものなのに絶賛を受けていたのでかなり期待して待ってました。

結果としてはその期待に応えてくれた部分と応えてくれなかった部分がありました。ストーリーや設定、俳優陣の演技は本当に魅力的で未だに興奮冷めやらぬ状態です。ただ映画の世界観やテイスト、演出は好みの問題ですが私は少し微妙に感じました。

ストーリーや設定が本当に巧みで、これを魅力的と思えば概ね満足を得られる映画です。
しかしこのストーリーや設定はSF、つまり非現実設定です。それが肌に合わなければ駄作認定一直線ではないでしょうか。

アメリカで批評家含めて大絶賛の嵐で、批評家賞ではいくつか脚本賞も獲りました。
日本でも映画関係者や映画好きの方が公開前から大絶賛をしておりました。ただ蓋を開けると賛否真っ二つといったところでしょう。好みの問題でしょう。

私が魅力的に思ったのはとにかくストーリーと設定、つまり脚本です。2044年と2074年の2つの世界が存在してる設定でざっくりした大胆なルールですが、これが不思議なループ感を起こしとても面白くストーリーが進んでいきました。

しかもSF映画でありつつ家族愛の部分等ドラマ性も持ちあわせています。この辺り感動したり色々考えることもできるのです。その辺堪能できると本作の魅力は何倍にも増すのではないでしょうか。

2044年の主人公ジョーと2074年からタイムマシンできた30年後の主人公ジョーが対峙します。これが本作のメインの部分ですがこの対峙にはお互い目的がちゃんとあるのです。一見関係ないと思われた農場住みの親子もしっかり未来と現在とで意味を成し・・・

※後ほど本作のルールとネタバレ解説を書きます。

一先ずここでざっくりと伝えておきたいことは、SFの設定でタイムマシンという今まで何度も見た設定に見えて今まで見たこと、感じたことないストーリーなのです。だから絶賛されてるのです。

その設定は新しいものですが、どこか未来的というより懐かしい感じの世界観や演出。この設定自体を毛嫌いしてしまえば作品は当然楽しめません。しかしこれらを気に入れば大絶賛に値する作品にもなるでしょう。

完全に好みの割れる映画なのです。お勧め!とも言い難く、逆にお勧めしない!とも言い難いのです。そういった不思議な映画なのです。

気になる方は自分の目で確かめてみるのも映画の面白さなので劇場へ足を運んでみてはいかがでしょうか。


物語の設定(ネタバレなし)

軽く本作の設定を説明しましょう。
2044年と2074年という時空を隔てて2つの世界がある設定です。生きてる人間は同じ。
よって2074年の世界には30年後の自分がいます。

2074年の世界では殺人ができない世界になっています。
タイムマシンのある世界で、犯罪組織はこのタイムマシンを悪用します。
そう、殺人を行なって良い2044年にターゲットを送り、2044年の世界で殺害するのです。

この2044年の世界で人殺しをしている人間のことを"ルーパー"と呼びます。

2044年にいる"ルーパー"は当然2074年にも人間として存在します。
しかし2074年は殺人ができない世界。
つまり"ルーパー"は未来の世界では時として用なしになるのです。

用なしになるとどうなるか?
そう、次の殺しのターゲットになるのです。
そして2044年に送られ殺されるのです。

しかも用なしになったルーパーは2044年に送られ30年前の自分に殺される設定です。
2074年から殺されるために2044年に送られた主人公ジョーが、
若い自分に殺されるところを何とか回避し2044年を変えることで未来の自分を変えようとしていくのが本作のストーリーです。

世界がいくつ存在してるかや、タイムマシンの構造云々といった論理的な部分はなし。
「この設定です」ということが提示され半ば強引に話が進むのですが、
2つの世界が1つの世界として包括的に見え、ペンローズの階段理論のような感覚すら覚えるのです。


年老いたジョーの行動原理(ネタバレにつき暗転表示)

年老いたジョーは中国で恋に落ち中国人と結婚をし、幸せな生活を送っていました。
しかしジョーを捕まえに来た組織の犯人らに妻を殺されてしまうのです。
その後2044年に自らタイムスリップし、犯人たちが子供のうちに殺してしまおうと考えます。

2044年の世界でいずれ犯人になる子供を殺してしまえば今度30年後を経験する自分は幸せに過ごせるためです。

しかし事は簡単には進みません。
なぜなら2044年に生きるジョーは2074年からきたジョーを殺さないといけないためです。

2044年のジョーは年老いたジョーが子供を狙っていることを突き止め、

その子供の一人の自宅、サラの農場げたどり着きます。
この子供は未来、つまり2077年にジョーの妻を殺す犯人になるのです。

年老いたジョーの目的を知って農場にたどり着いた2044年のジョーですが、

徐々に打ち解けシングルマザーであるサラを愛する気持ちが芽生えてきます。
子供であり将来犯人になるシドとも心を通わせるのです。

しかし年老いたジョーがあれこれと障害を乗り越え子供を殺しにきます。

子供を殺そうと銃を構える年老いたジョーですが、その前に母親が立ちはだかります。
今ここで年老いたジョーが銃を撃てば母親だけが死ぬことになります。

そう、ここが本作のポイントになります。

母親を殺すと、母親を心から愛する子供のシドは怒りを抱えて生きていくことになるのです。
その怒りは誰に向かうか?そう、母親を殺した年老いたジョーに向かうのです。

愛する人(母)を殺した犯人(年老いたジョー)の愛する人(妻)を殺すことで、

復讐を果たそうとするのです。
それが2077年に起きたジョーの妻殺害の悲劇なのです。

物語がループしていく不思議な感覚に陥ります。


2044年のジョーの心にはサラを愛する気持ちとシドを大切に思う気持ちが芽生えています。

つまる、銃を構えてる年老いたジョーに銃を撃たせてはいけないと思います。
なので彼は銃を自分に向けたのです。自殺した瞬間、年老いたジョーも消えました。

そう、"自分"という存在はいくつ世界があっても1つなのです。

今の自分が消えれば当然未来の自分はいなくなるのです。
そうして親子は守られ、この子供は次の30年後、殺人犯になることもなくなるのです。

という具合にまとめてみました。
未見の方がネタバレ読みたいという理由で読んだ場合は??になるかもです。
映画を見た方なら復習に最適でしょう。

この不思議な感覚は是非映画を体感して味わって欲しいと思います。
ただし、繰り返してる通り賛否真っ二つですw
この点ご注意ください。



まとめ

私はこの設定や世界観は本当に見事だなと思っており、不思議な感覚を楽しむことができました。
ラストも家族愛への落とし所やジョーの決断はすっきりしました。
切ない終わり方といえば切ない終わり方ですよね。

映画の結末が素晴らしかったので満足感を味わうことができましたが、
どうしても前半〜中盤、この映画の世界観が退屈に感じてしまったところもあります。
良くも悪くも大作感がなく、チープな雰囲気が肌に合いませんでした。

しかしここは評価のポイントとして記載してるレビューも多くあるのでやはり好みですねw
またストーリーがループして愛に落とし所を見出してる点を認識できないと、
よくわからなかったり、映画として何を描きたかったのかがわからないかもしれません。

この辺気軽に頭を使わず時を過ごす映画ではないと思います。
ただストーリーを理解できた時には面白い感覚を味わえます。
賛否あるので多くのみなさんの意見をむしろ聞きたいです。