『ライフ・オブ・パイ』感想、誰もが観たことのない映像で包まれた超大作であり傑作ここにあり!【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレ解説あり] - Cinema A La Carte

『ライフ・オブ・パイ』感想、誰もが観たことのない映像で包まれた超大作であり傑作ここにあり!【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレ解説あり]



『ライフ・オブ・パイ』基本情報

日本語タイトル
=ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日間

原題
=LIFE OF PI

監督
=アン・リー

出演
=スラージ・シャルマ
=イルファン・カーン
=アディル・フセイン

公式サイト
http://www.foxmovies.jp/lifeofpi/

ストーリー
1976年、インドで動物園を経営するパイの一家はカナダへ移住するため太平洋上を航行中に、嵐に襲われ船が難破してしまう。家族の中で唯一生き残ったパイが命からがら乗り込んだ小さな救命ボートには、シマウマ、ハイエナ、オランウータン、ベンガルトラが乗っていた。ほどなくシマウマたちが死んでいき、ボートにはパイとベンガルトラだけが残る。残り少ない非常食、肉親を失った絶望的な状況に加え、空腹のトラがパイの命を狙っていて……。

予告編
http://www.youtube.com/watch?v=46G_CXH6FSM

感想「映像の魅力とストーリーの魅力が圧巻!」
映画に関しては3D映像の魅力が大々的に宣伝されていますが、その宣伝通り素晴らしい映像体験でした。しかし、最大の魅力は実は映像ではなくストーリー×演出にあると私は思いました。アカデミー賞監督賞受賞も納得です。

何と言っても圧巻の3D映像には息を飲みます。アン・リー監督初の3Dですが、アン・リー監督らしいビジュアルへのこだわりが今回も感じられます。美しきく時に残忍さを増す装置としても使われる3Dは過去最高レベルではないでしょうか。

3D映像は時に現実的な要素をより現実的に見せる海での漂流生活を映し、時に非現実的なまでに美しい漂流生活も魅せつけてくれます。予告編にもあるくじらのシーンや魚を獲るシーンは圧巻の一言でした。細かいことを考えず、この映像を楽しむだけでも劇場へ行く価値はあると思います。

本作はアドベンチャーでもファンタジーでもありませんでした。もちろんアドベンチャー要素もファンタジー要素も多分に含まれています。そこに宗教観や家族の話、友情なども入れ込まれ奥深いストーリーになっています。

良くも悪くも漂流話など映画の半分ちょっとに過ぎません。ある意味そこだけ切り取って宣伝することで軽めな3D映画と思わせて、実はとんでもなく深いストーリーを持った映画だったという意味でプラス転化することもあるでしょう。まぁ逆に思ったより重くて疲れたという論も出るかもですけどねw

"ライフ・オブ・パイ"="パイの物語"ということで、主人公パイの話が主軸になるのですが、まずパイという名前が本名ではないのです。パイという名前を使うようになった話がまた面白いです。

そして全く持って想定していなかった宗教観の話が映画に奥深さを与えます。面白いのが1つの宗教をピックアップしてそれを語っているわけではない点です。あらゆる宗教の話が入ることで映画全体のボリューム、深さが増していきます。

クリシュナの話からヒンドゥー教に興味を持ったと思ったら、その後はキリスト教、そしてイスラム教へと興味を持っていくのです。そして現代、大人になったパイはメシア論の神秘主義思想も自らに取り入れているのです。つまりユダヤ教的な要素です。

トラの名前がリチャード・パーカーなのもクスっとさせられます。この辺りは後ほど記載しましょう。

そんな中本作で重要な要素を占めるのは漂流話"ではない方"なのです。現代を生きる成長したパイがある人に漂流話を語っていく構成なのですが、この構成が巧みでして、最後は衝撃の展開が待ち受けているのです。

"どんでん返し"というまでではありませんが、映画の冒頭から全編に渡って巧みに張り巡らされた伏線、それが最後に「あーそうだったのか!」となり心にしっかりと落とし込まれます。

映画には日本人も出てきます。なぜここは日本人でなければいけなかったのか?その辺りはネタバレになるので後ほど暗転させて解説したいと思います。

何はともあれ、『アバター』の時のようにストーリー二の次で映像期待していったら、
完全にストーリーにやられたという感じです。もっと言葉で表したいことがたくさんあるのですがラストに触れざるをえなくなるので我慢します。

頭を空っぽにしてみる映画ではありませんが、万人向けお勧め映画ではないでしょうか。
是非劇場にて、3Dにて鑑賞してみてください。


アン・リー監督だからこその完成度

本作を知った際に最初に思ったのは「これアン・リー監督とか人選ミスにも程があるだろ」ということです。

しかし映画を見て思いました。アン・リー監督でないとこの完成度にはならなかったでしょう。何もわからず偉い口たたいて申し訳なかったと思っています。

どうしても映像が売りにされていたのでそう思ったわけです。しかし簡潔レビューでまとめた通り奥深いストーリーあってことの映画なのです。そこをしっかりと演出しなければ傑作にはならなかったのです。

アン・リー監督は少し扱いにくストーリーでもしっかりと観客の心に触れる演出をします。近年の『ブロークバック・マウンテン』や『ラスト・コーション』でもそうでした。
本作も冒険活劇と思いきや・・・やはり心に響く素晴らしい演出となっているのです。

奥深いストーリーを私達の心に語りかけてくれるのです。

本作で日本人が描かれた理由

本作ではパイの乗る船が日本船籍で、最後には日本人も出てきます。
ここで日本人を使うことで私達日本人はよりその理由を理解することができます。

※以下ネタバレにつき字を反転させます。
本作の漂流話は創作という意味合いになるわけですが、
当然この虎の話をしても日本人は信じません。
私達日本人は宗教と距離のある人が多く現実的なのです。

それに関して良し悪しは置いておきまして、
虎との友情で227日を生き延びたなど信じません。
よってここでパイは動物をパイに置き換えて伝えたのです。
お母さん、料理人、水夫と。
それなら虎の話より現実的だからです。

何かしら宗教観を持っている人物ならこの出来事は「神の導き」で済ませることもできるのです。
しかしそうせず現実的な話を入れるには日本人を取り入れるのはちょうどいいのです。


まとめ

想定外のストーリーであり、衝撃の展開が最後にあり、それだけで私は存分に楽しめました。3D映像文句無しなのですが、それよりもとにかく最後にやられました。

あれこれ伏線あったなぁと今でも色々思い出しています。

「パイはなぜ227日間も漂流できたのか?」というタイトルの主題の話よりも
「物語とは如何様にも語ることができるるんだ。」という事に感心しきりです。

是非この結末に熱狂してしまった方がおりましたらTwitterやGoogle+などで語りたいと思います。

お勧めの一本です!