「カンフーには縦か横しかない」圧巻の映像美が放つパワー『グランドマスター』【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

「カンフーには縦か横しかない」圧巻の映像美が放つパワー『グランドマスター』【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし]



感想
息を呑むほどの映像美、トニー・レオン演じるイップマンの静かなる情熱、チャン・ツィイーの見事なカンフーと美しさ、格言的な台詞の数々。本作において魅力を放っているものは数多くあり、もう一度劇場で見たいと思った作品です。


実際に中国武術に嗜む方が武術のシーンを褒めていらしてました。
これトニー・レオンらは4年ほど実際に習ったようなのです。
なのでこの辺りは小手先ではない本格的なものが映画で見ることができるのです。

トニー・レオンの良さは当然のこととして、チャン・ツィイー演じるルオメイの存在感たるや・・・武術シーンのチャン・ツィイーのキレの良さたるや・・・美しさたるや・・・チャン・ツィイーを観るだけでもこの映画には価値があります。麗しく切なく美しく・・・もっと美しさを表す日本語表現が必要なほどです。お見事でした。

そして幻想的に描かれる雨の中でも格闘シーン。
スローモーションを多用し雨のしぶきを芸術的に描き、静かなる格闘を描き出していく様、息を呑む美しさでありました。特にオープニングと終盤のルオメイの駅での武術アクションはこの映画の中でもとりわけ素晴らしいシーンであったと思います。

その他音楽の良さ、エンディングで不意を打つブルース・リーの名言提示など、加点方式で映画を評価していけばこれでもかこれでもかと美しさを中心に評価ができる映画なのです。





絶対評価をすると素晴らしい作品、相対評価をすると難あり作品(笑)
美しさ底なしの本作。絶対評価では底なしの評価となります。

しかーし!(笑)

本作とても評価が悪いです。

Yahoo映画のサイトでは5点満点で平均2.8という平均の3を下回り言ってしまえば駄作に分類される位置に落ち着いてしまっています。

これまず想定していたものと全く異なる映画が提示されてるのが要因ではないかと。
私もそうでしたが、詠春拳、形意拳、八卦掌、八極拳のマスターたちの頂点を極める対決だと思っていたのです。全く違いました(笑)

それらしいスタートをするのですが決して対決を全面に押し出すこと無く、時代の波(戦争等)に流され、それでも各派の伝統を忘れてはならないという意思を持って生きていく様が主人公イップマンを中心に描かれていくのです。

レビュー見てると私だけでなく多くの方が頂上決戦映画だと思っていたようなのでこれ宣伝ミスではないですかね?良い意味で少し異なるテイストで宣伝する手法はありますが、この評価を見てる限り完全に宣伝ミスの方向に働いてしまってると思うのです。

脚本という脚本が用意されていなかったようでエピソードを積み重ね、それを編集することでストーリーを作り上げていったものと思われます。よって所々ストーリーがわからなくなったり、今何をしてるんだろうと疑問に思い置いてけぼりになる部分がありました。

私中国武術に関して知識皆無のためこれは私の知識不足なんだなと思ってましたが、ストーリーへの苦言が多いので・・・そういうことなのかもしれません(笑)

繰り返している通り映像美を中心とした芸術面では大絶賛したい部分が多いのですが、ストーリーが理解できてない部分が出てしまっており、そういった意味でこの作品を超大絶賛している方ほどまだ理解が及んでないのかなと思いました。

超大絶賛してる方が多いのも事実なので「わからない=つまらない」の構図から抜け出し、本作が放つまだ気づかぬ魅力に気づくまでもう少し勉強して再鑑賞に挑みたいと思ってる次第です。

ストーリーに難ありなので相対評価では私の評価も低くなりますが、それでも圧倒的な映像美だけでも観る価値ありの作品だと私は思っています。

あ、あと日本軍の使い方は都合よくやられてますが・・・まあいつものことなのでこれは感情的にならずにスルーするくらいで良いかと思います(笑)


トニー・レオン抜擢の理由/チャン・ツィイーの役者魂
トニー・レオンは中国武術の経験が一切無かったようです。
「彼の役は、顔つきや所作で、民族の精神を表現しなければならない。普通のアクションスターには無理だろう。彼ならその資質があると思った」。
そのようにウォン・カーウァイ監督がインタビューで答えています。

この映画のために実際4年間も修業をさせたようです。

「映画用の振り付けではなく、本当に学んでもらった。八極拳の伝承者を演じるチャン・チェンは、実際の八極拳の大会で優勝したほどだ」

何という役者魂・・・素晴らしいです。
そう考えると冒頭書いたようにこの映画の武術シーンは大いに楽しむべきですね。
ストーリーがもう少し万人に受けられるように整備されていれば・・・うむ・・・残念w

「カーウァイ監督作品だから脚本があるわけじゃないし、どんなキャラクターになるか、どんな性格をしているのか、最初は全然わからないところがおもしろいの。監督にも、私にも、他のみんなにもそれはミステリー。完成した映画を見て『ああ、3年かけてこういうキャラクターを演じたんだな』ってわかるの」

そうインタビューで答えたのはチャン・ツィイーです。

「とにかくたくさんテークを重ねて、いろいろ演じてみているの。その中から最終的にどれを選ぶかは監督が決めること。まるで演技学校に戻るようなすばらしい機会よ。笑っている日があれば、泣いている日もある。そういったプロセスを通して成長できる。いろいろなことにトライしていると、知らなかった自分の演技の幅がどんどん広くなって、ああ、こんなこともできるんだと思えるの」と続けました。

脚本がちゃんとないことはいくらでも批判できることかもしれませんが、これを把握してチャレンジした俳優陣がいたからこそあの圧巻の武術シーンに仕上がったのかなと思うと、これはこれで良かったのかなとも思いますね。

ホントにチャン・ツィイーの演技が見事でして・・・チャン・ツィイーのシーンだけ編集したものDVDにつけてほしいほどです。そしたら即買いですよええ(笑)


まとめ
負けて横たわるか、勝って立つか 

この台詞がとても印象的に残っています。
あれですね、このブログを読んでから鑑賞する方には以下の心構えをお伝えしておきましょう。よくあるアレですけどね、これで挑めば大丈夫!(笑)

理解しようとするな!感じるんだ!!

これですよこの映画を楽しむ醍醐味は!(笑)
せっかくお金を払って映画を観るのです。
楽しだもの勝ちですよー!!(笑)


基本情報
日本語タイトル
『グランドマスター』

原題
"一代宗師"

監督
ウォン・カーウァイ

出演
トニー・レオン、チャン・ツィイー、チャン・チェン

公式サイト
http://grandmaster.gaga.ne.jp/

ストーリー
20世紀初めの中国。北の八掛拳の宗師・宝森は、流派統一を任せられる継承者として、弟子の馬三と南の詠春拳の宗師・葉問(トニー・レオン)のどちらから選ぼうとする。六十四手の達人にしての宝森の娘でもある宮若梅(チャン・ツィイー)も候補者として手を挙げる中、馬三が宝森の命を奪うという謀反を企てる。それを機に、宝森の敵(かたき)を討つ復讐と後継者の座を奪い合うすさまじい戦いの火ぶたが切って落とされる。
(シネマトゥデイより)

予告編