バズ・ラーマン節炸裂!『華麗なるギャツビー』| 華麗なる演出・映像・衣装・音楽が織りなす切なく悲しいラブストーリー【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

バズ・ラーマン節炸裂!『華麗なるギャツビー』| 華麗なる演出・映像・衣装・音楽が織りなす切なく悲しいラブストーリー【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし]



バズ・ラーマン節炸裂の素晴らしき映画体験!
試写会にて一足先に鑑賞してきました。

『ロミオ+ジュリエット』『ムーラン・ルージュ』のド派手演出で知られるバズラーマン監督の魅力が炸裂しておりました!F・スコット・フィッツジェラルド原作の映画化としてもこのスタイリッシュテイストはベストなのではないかと思うほど見事な映画でありました。

どこまでもスタイリッシュな映像と音楽と衣装、どこまでも切なく悲しく痛く儚いストーリーと演技。

少しばかり不安視してたバズ・ラーマンのやり過ぎ演出も大丈夫でした。『ムーランルージュ』以上に計算されて抑制効いてスタイリッシュなものになってて何度も息を飲みました。

悲恋モノであり、原作同様後半がごたごたするので後味スッキリせずそこは賛否割れるでしょう。これは原作に紐付けられるもの。しかしバズ・ラーマン演出に関してはもう心から拍手を送りたいと思います。ホント見事でありました!

ド派手演出を繰り広げながらも抑制を効かせた演出が垣間見られ、それにより物語にも奥深さが生まれ、主人公ギャツビーや語り手のニックの苦悩という内面もしっかりと炙りだされており見事なものでありました。


ディカプリオが実に『タイタニック』以来のラブストーリー主演。ベテラン俳優としてキャリアを積んできたディカプリオですが、本作ではどこまでもピュアで切なく痛い好青年となっていました。好青年という表現は変か?とにかくはまり役でありました。

トビー・マグワイアの抑制の効いて脇に回る演技。
キャリー・マリガンの揺れ動く気持ちの見事な表現。
ジョエル・エドガートンの横暴だけれど心情も垣間見られる巧みな演技。

これらキャストの熱演も映画をとても魅力的なものに仕上げていました。

決して幸せな気分になる映画ではありませんし、バズ・ラーマン監督映画である以上賛否割れるのは当然のことでしょう。しかし私はこの映画に惜しみない拍手を送りたいと思います。ホント素晴らしい作品でありました!

2Dでも問題ない演出ですが、3Dでこそ味が出るのがバズ・ラーマン映画でしょう。パーティーシーンは特に!今回の試写会は2Dだったので公開されたら3Dで観たいなと思ってます。

ということでより細かな魅力や演出に関する解説、本作(原作)がなぜアメリカ人の心を掴むのかなどをここからは書いていきたいと思います。



バズ・ラーマン映画でしか成し得ない映画
アメリカ文学の最高傑作とも言われるF・スコット・フィッツジェラルドの『華麗なるギャツビー』の再映画化となった本作。しかし私からすれば再映画化として過去作と比べることや原作と比べることなど最初からするつもりはありませんでした。

なぜなら本作の監督はバズ・ラーマンだからです!

オーストラリア出身の監督さんで、ディカプリオの出世作『ロミオ+ジュリエット』や、ユアン・マクレガー×ニコール・キッドマン主演でアカデミー賞にもノミネートされた『ムーランルージュ』でご存知の方も多いでしょう。

この2作どちらか観たことある方ならこの監督の持ち味と言いますか特徴はわかるでしょう。そう"ド派手演出"です(笑)

特に『ムーランルージュ』はどうやったらそんな色彩表現、映像表現できるんだという程計算された先にあるカオス映像が中毒性を生み、そして一部で拒絶反応を生んだ映画でもありました。私は大好きな大好きな映画であります。

その後撮った『オーストラリア』に関しては語りたくありません。あれは評価も興行もコケた映画でして・・・いいです語りません、私は触れません(笑)

そんなバズ・ラーマン監督による『華麗なるギャツビー』ですから公開前から"華麗なる映画"になることが予想されました。それは楽しみでもありやり過ぎないかという不安も持つものでありました。

しかし最初に書いたように今回はド派手な部分は今までにないくらいド派手でありながら、抑制の効いた部分はしっとりと切なく演出されており見事なバランスな映画となっていました。

『ムーランルージュ』と『華麗なるギャツビー』のオープニングの温度差がそれを象徴します。『ムーランルージュ』は配給会社が最初に出るクレジットからド派手にスタート。『華麗なるギャツビー』は1920年代に作られた映画であるかのような質素で粗い映像から始まります。しかもとても静かな音楽で。お見事でありますホント。

そして主人公のディカプリオがまあなかなか出ない。最初30分はトビー・マグワイア主演と言っても過言ではないほどです。いや、まあ彼の視点の物語ですから原作通りではありますが。

しかしその30分も華麗なる映像が徐々にヒートアップしていき私たちはわくわくしながらその映像を堪能するわけです。そしてギャツビー邸でのパーティーシーン、映画の演出テンションが最高潮を迎えたところでディカプリオ演じるギャツビーが登場!

しかもその登場シーンが笑ってしまうくらい豪華で計算されたものに!
これ笑うところだと思ったのですが静かだったので笑い堪えました(笑)
いやいや、あれは笑いましょうよいい意味で(笑)あんなド派手な主人公登場シーンありますかね?(笑)

さて話を戻しましょう。
そしてそこからも映画中盤まで豪華でスタイリッシュな映像が物語を牽引していきます。
バズ・ラーマンでしかできない演出が炸裂するのです。

細かくこれ以上書くと1万字超えそうだと今気づいたのでブレーキかけます(笑)
何を言いたいかといいますと、バズ・ラーマンという監督が作った映画として観るべきなのです。

それを意識しないと色んな批判が出ると思うのです。
「派手すぎる」「音楽が現代風」「衣装が時代に即してない」「うるさい」「演出かかりすぎてる」「原作に即してない」などなど。
それらは意味を成しません。なぜならバズ・ラーマンの映画だからです。

『ロミオ+ジュリエット』でも『ムーランルージュ』でもそうでした。
この監督の映画は楽しんだもの勝ちなのです。
楽しみましょうよ、その華麗なる映像を!


華麗なる予算(笑)、華麗なるセット、華麗なる装飾品、華麗なる衣装
本作はとにかく豪華絢爛!!
どれだけ凄いかを数字で見ていきましょう。

製作費が1億2700万ドル。
1ドル100円換算で127億円。
ラブストーリーですからねこれ。あり得ない高額です(笑)

スワロフスキーから提供されたクリスタルの数は28万8000個。
そのクリスタルを手作業で繋ぐのにかかった時間は250時間。
シャンデリアフレームにかけるのにかかった時間は100時間。

ソルティスから購入した高級レースの合計の長さは1400メートル。

ティファニーのアクセサリーは150点。

ミウッチャ・プラダのデザインドレス40着。

ブルックス・ブラザーズのメンズアイテムは2291点。

フォーガルから提供されたストッキングとガーター・ベルトは1080点。

エキストラ1000人規模。
スタッフ約1200人。
メイクアップ担当70人超え。

そして数字関係ないですが、
映画内で飲んでるシャンパンは水ではなく本物!
しかもモエ・エ・シャンドンの高級シャンパン!

もう一度言います。
この映画はラブストーリーです(笑)
SG大作でもアクション映画でもありません(笑)

それらをかけただけあって映像が演出によるものだけでなく本物の輝きを持っているのです。うっとりであります。

原作の特性上前半にそれらは偏っているのですがホントこれお見事です。
人生の崩壊劇を辿る後半は前半に比べ映像的には地味になります。
しかし前半でこれらとんでもない豪華絢爛なものを見せてくれるからこそ後半の空虚さが増すのです。

演出やストーリー、そして俳優陣の演技以外のこれら衣装やアクセサリー、セットの輝きが本作の大きな魅力ではあります。ストーリーに苦言を呈しているレビューでもここは認めてるものが多いですね。認めるしか無いですよ、だって本物なのですから(笑)


豪華アーティスト集結の音楽、2曲を事前に押さえてより堪能しましょう
JAY・Z
ビヨンセ
ウィル・アイ・アム
Florence+The Machine
ラナ・デル・レイ
ファーギー
The xx
エミリー・サンデー
ゴティエ
ジャック・ホワイト
シーア
Nero

とんでもない豪華アーティストの楽曲が集結している本作。
本作のために書き下ろされた楽曲も多いです。

私は映画を観る前これら音楽が順番に出てくるものかと思ってましたがいい意味で期待を裏切られました。各所でこれらアーティストの楽曲が映画を彩るわけですが、
2曲が中心にその他は脇役に回っていたのです。

1曲目はラナ・デル・レイの"Young and Beautiful"


2曲目THE xxの"Together"です。


この2曲は映画内で繰り返しかかるだけでなくバックミュージックとして旋律だけがかかるシーンもありました。これって映画を堪能する上で実はとても重要なものなのです。

なぜならこの2曲の歌詞は映画のストーリーとリンクしているからです。
つまり"Young and Beautiful"のメロディーが流れていたらその切ない歌詞が歌われて無くてもそれを暗示しているのです。"Together"もまた然り。

なのでこの2曲、是非予習してから映画を堪能してほしいです。

特に重要な"Young and Beautiful"は私独自の訳詞を掲載してます。
こちら
この曲はギャツビーが幸せの絶頂の時にかかります。

一生幸せでいようねとデイジーに語りかけているかのように・・・
それを心で願っているかのように・・・
それは痛い幻想でありながらもとても切ないのです。

"Young and Beautiful"を鑑賞前から聴き倒していた私はここでボロ泣きしてしまいました。それくらい楽曲を知っていると映画を深く堪能できるのです。是非この2曲、メロディーだけでも予習してから映画をご堪能ください。


ギャツビーはアメリカ人の象徴、『ソーシャル・ネットワーク』の元もここ
『華麗なるギャツビー』の主人公であるギャツビーはアメリカ人そのものを表しているとの言われています。

アメリカは移民の国です。日本のように何千年も歴史のある国ではないのです。
つまり上流階級そのものは実際は存在しないのです。
短い歴史の中で人々はのし上がっていきあの大国を作り上げていったのです。

だからこそ映画の中で名家云々とか言ってるその外の構造はアメリカそのものを象徴しているのです。ギャツビーは両親が金持ちではないのにのし上がってきた男と非難をされます。しかしそれはアメリカ人そのものでもあるのです。

この構造こそ原作『華麗なるギャツビー』の魅力でもあるわけです。

そして後半の人生崩壊劇は紛れもなく世界恐慌の象徴。
その後アメリカは詠歌盛衰を繰り返すわけですが、それは『華麗なるギャツビー』のストーリーを何度も何度も繰り返しているようなものなのです。

ここに気づくかどうかで本作の魅力、理解が何倍にも変わってくるのです。
サクッとここに書いたわけなので是非それを意識して映画を見てほしいです。
一人の男の物語であると同時にアメリカという国の物語でもあるのです。


また、『市民ケーン』という名作映画がありますが、この映画の主人公はウィリアム・ランドルフ・ハーストという実在の人物が元になっています。

惚れた女を振り向かせようとと汚い手を使ってでもお金持ちにのし上がっていく部分がウィリアム・ランドルフ・ハーストの実際の人生においてあった事なのです。これは言うまでもなく今回の『華麗なるギャツビー』の主人公ギャツビーとも被るわけです。

映画評論家の町山智浩さんが、映画『ソーシャル・ネットワーク』の解説の際に『市民ケーン』を元にしていると仰っていました。惚れた女を振り向かせようという部分です。あれ実際のfacebookの設立意義ではなく『市民ケーン』に着想を得たフィクション部分なのです。

つまり『華麗なるギャツビー』も『市民ケーン』も『ソーシャル・ネットワーク』も主人公の行動原理は"惚れた女のためにのし上がる"なのです。しかも『ソーシャル・ネットワーク』に関しては主人公マーク・ザッカーバーグだけでなく、後半登場するショーン・パーカーがナップスターを設立した理由もこれと同じことを言っていて二重構造になっています。

何て面白いのでしょうか!!

"女"を"欲望"に変えてみましょう。
"欲望"のためにのし上がるも"欲望"により死せり。
今の時代でもよくあることですよね。

『華麗なるギャツビー』は決して対岸の火事的な物語ではないのです。
私たちの延長線にある物語なのです。
これに気づくともう『華麗なるギャツビー』の虜になり、
かつ『市民ケーン』や『ソーシャル・ネットワーク』すらもセットで考えてしまうわけです。

世界観が無限に広がっていくのです。
そして映画に取り憑かれるのです。
しかも今回の『華麗なるギャツビー』は豪華絢爛でスタイリッシュ。

もう取り憑かれるしか無いのです。

どんな小説も物語も、いや、人間だって何だって、深く知ることで表面ではわからなかった魅力に気づくのです。表面を好き勝手解釈して嫌うことや批判をすることなんて簡単なんです。魅力を探求することがどれだけ素晴らしいことか。そんなことをこの映画を通して改めて痛感しました。

一本の映画としてもバズ・ラーマン監督らしさの魅力に溢れいくらでも深く堪能できます。『華麗なるギャツビー』『市民ケーン』『ソーシャル・ネットワーク』が示すアメリカの象徴という概念で考えると無限に世界が広がります。

哀れな男の物語として恋愛を深く考えることもできます。

それこそが映画の魅力そのものであり、人生の魅力でもあるのです。
素晴らしい映画でした。もう何度か劇場通いたいと思います。

おしまい。



基本情報
日本語タイトル
『華麗なるギャツビー』

原題
"THE GREAT GATSBY"

監督
バズ・ラーマン

出演
レオナルド・ディカプリオ、トビー・マグワイア、キャリー・マリガン、ジョエル・エドガートン

公式サイト
http://www.gatsbymovie.jp/

ストーリー
ニック(トビー・マグワイア)が暮らす家の隣に建つ、ぜいを凝らした宮殿のような豪邸。ニックは、そこで毎晩のように盛大なパーティーを開く若き大富豪ジェイ・ギャツビー(レオナルド・ディカプリオ)と言葉を交わす仲になる。どこからやって来たのか、いかにしてばく大な富を得たのか、なぜパーティーを開催し続けるのか、日を追うごとに彼への疑問を大きく膨らませていくニック。やがて、名家の出身ながらも身寄りがないこと、戦争でさまざまな勲章を受けたことなどを明かされるが、ニックはこの話に疑念を持つ。(シネマトゥデイより)

予告編



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