『アルバート氏の人生』感想、1人の女性が歩んだ男性としての人生【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

『アルバート氏の人生』感想、1人の女性が歩んだ男性としての人生【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし]



『アルバート氏の人生』基本情報

日本語タイトル
=アルバート氏の人生

原題
=ALBERT NOBBS

監督
=ロドリゴ・ガルシア

出演
=グレン・クローズ
=ミア・ワシコウスカ
=アーロン・ジョンソン
=ジャネット・マクティア

公式サイト
http://albert-movie.com/

ストーリー
19世紀のアイルランド、アルバートは、ダブリンにあるホテルでウエイターとして働いていた。だが、人付き合いが苦手で、もの静かなアルバートには誰にも明かすことのできない大きな秘密があった。ある日、アルバートはホテルの改装工事にやって来た陽気で端正な容ぼうの塗装業者ヒューバートと出会い……。

予告編
http://www.youtube.com/watch?v=Xf4dXcstXEI



感想「ラスト以外とても素晴らしい映画」


昨年のアカデミー賞にグレン・クローズが主演女優賞ノミネート、ジャネット・マクティアが助演女優賞にノミネートされました。やっと日本でも公開されましたw

結論からいきますとラスト以外とても素晴らしい映画だったと思います。予想以上に重い作品でしたが、心に響く素晴らしい作品でした。ラストに関しては賛否両論でしょう。私はこの結末はちょっとなと思っただけです。


19世紀のアイルランドでは女性は自らの意思通りに生きることができませんでした。しかし意思は思い通りにならないだけで意思は心にあるものです。その意思のために男性として生きる選択をしたのがアルバート氏です。

男装をして女性らしさを消し生きていく。当然恋などはできないため慎ましく謙虚な男性として生きていくわけです。それはそれで素晴らしい男性として評価されるようになります。

大きな嘘を1つつくことで、心には嘘をつかないと決めた1人の女性。しかし大きな嘘も時代の流れ、生きていく中で伏せていた恋心は溢れてしまうのです。恋をすると性別の偽りは出来ない。その辺りから歯車が狂い映画は予想外の方向へ進むのです。

"意思"を表に出すか出さないか、"意思"のままに行動するかしないか。主人公アルバート以外の登場人物たちのそれも如実に描かれています。人の意志の暴走は時として悲劇をもたらす…心に突き刺さる展開でした。

私が今年見てきた映画は試写会含めると『アウトロー』『LOOPER ルーパー』『96時間 リベンジ』『ライフ・オブ・パイ』『テッド』です。どれも多かれ少なかれ娯楽要素があります。

しかし今作『アルバート氏の人生』はそうではありません。淡々としかし着実に進む物語に喜びや悲しみを感じるのです。時に怒りも。そして"アルバート氏の人生"そのものを目撃するわけです。

娯楽要素のない映画はその時点で万人へのお勧めとはなりません。公開規模からしてもそうでしょう。しかし本作が心に響く作品なのは間違いありません。

娯楽要素はないけれあどアート的な映画でもなくしっかりと心へ染みてきます。そういった映画が好きな人には生涯大切となる一本になるのではないでしょうか。気になる方は是非ご覧くださいません。


公式Twitterからコメント頂きました



冒頭10分がYoutubeで公開されています




まとめ

人生を描いた映画は自分自身を考える鏡にもなります。今回は心に誓った意思を曲げず大きな嘘をつく辛さを知りました。ここまで大きな嘘の決断をすることは現代を生きる私たちにはないでしょう。

しかし、それは直接的にないだけで、大なり小なり似たことは起きるでしょう。例えば人の幸せを願う意思表示をしながら心では自分の幸せを求めていたり。そういった切ない気持ちは誰もが抱いたことがあるでしょう。

答えは出なくてもそういうことを少しでも意識し、考えることができれば、その時その映画と出会った喜びを感じることができるのです。非常に重い映画で劇場リピートは難しいですがきっと生きているうちで何度か見ることになるのかなと思っています。

そして時を経て見た時、またその時の境遇で感じることが異なるのかなとも思いました。