『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』感想、イギリス名優集結!インドが舞台の不思議な魅力に溢れる映画【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』感想、イギリス名優集結!インドが舞台の不思議な魅力に溢れる映画【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし]



『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』基本情報


日本語タイトル
『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』

原題
"THE BEST EXOTIC MARIGOLD HOTEL"

監督
ジョン・マッデン

出演
ジュディ・デンチ、トム・ウィルキンソン、ビル・ナイ、マギー・スミス、デヴ・パテル

公式サイト

ストーリー
「マリーゴールド・ホテルで、穏やかで心地良い日々を-」という宣伝に魅力を感じ、イギリスからインドに移住してきたシニア世代の男女7人。夫を亡くしたイヴリンをはじめ、それぞれに事情を抱える彼らを待ち受けていたのは、おんぼろホテルと異文化の洗礼だった。そんな周りの様子を尻目にイヴリンは、街に繰り出しほどなく仕事を見つけ……。



感想「インドを思い出し勇気を貰った」

『恋に落ちたシェイクスピア』のジョン・マッデン監督だけあって、全く違う映画でありながらドラマ性とコメディ性のバランスが取れたお見事な映画でした。

私はインドに行ったことが一度あります。本作は冒頭以外全てインドが舞台です。
インドに行ったことある方なら「そうそう、こんな感じ」と世界観も楽しめます。

本作の邦題は『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』で全然ありな邦題ですが、仮に大げさな邦題を付けるのであれば『最高の老後の人生の見つけ方』でしょう。そんな感じのほんわかしつつもドラマ性がしっかりある素敵な作品なのです。

イギリスの名優が集結してる本作。
『007』シリーズでMを演じたジュディ・デンチ。
『パイレーツ・オブ・カビリアン』でデイヴィー・ジョーンズを演じたビル・ナイ。
『バットマン・ビギンズ』でファルコーニを演じたビル・ナイ。
そして『ハリーポッター』シリーズのマクゴナガル先生を演じたマギー・スミス。
とんでもないですw

アンサンブル的にこれら人物それぞれのストーリーが入り交じっていくのですが、これが色々とあって時にコメディタッチに、時にドラマタッチに描かれていきます。そのバランス感覚が素晴らしく最後はすっきりする映画でした。

私は26歳なので老後云々は実体験でどうこうはないけれど、もし私がこの世代になった時、その時幸せを感じていたいけれど、この登場人物たちみたいに新しい経験もどんどんしていきたいなと思いました。そんな素敵な夢を与えてくれる映画になっていました。

映画の中には"別れ"も描かれていますが、その"別れ"も幸せのための選択の1つです。
なのでもやっと捉えずポジティブに捉えてね、と製作陣も思ってるのだと思います。ラストカットはほんわかしたなぁ。

イギリス名優演じる老人たちがインドに行って色々経験する話なわけですが、インド側の人物たちも非常に魅力的です。特に『スラムドッグ・ミリオネア』のデヴ・パテルwww
何なんでしょうこの憎めない少年はwww笑ってしまうのは見ればわかりますよ。"チャーミング"とはこのことだw

登場人物たちは傷までは行かなくても、過去に何かしら囚われています。夫に何でもやってもらってて自立ができてない人物だったり、妻の言いなりに優しさだけを出して生きてきた人物だったり、過去の過ちを謝れないで後悔しながら生きる人物だったり、過去の出来事により素直さを隠し差別的な態度をあちこちで取る人物だったり。

それら人物がインドという異国の地で成長していきます。老人でも成長できるのです。あらゆる人物が入り乱れるそれを見ながら私達の心にもしっかりと染みこんできます。

インドが舞台なのでなかなか賑やかな雰囲気ですwこれインド行ったことある人間からすると大げさでないと言えますwこんな感じの国です。

ただインドそのものを描いた映画ではないので、みなさんがインドに行ったことある方から聞いたエピソードに溢れてることがないでしょう。既に出てるレビューに「舞台がインドなのが失敗」と否定レビューがありましたが何を言うのかwインド行ったことあるのかそこのお前は!?w

インドだからこそ、インドという舞台で異文化を混ぜてドラマを展開したからこそ、老人たちは老人になっても成長できたのです。ほんわか素敵な映画ですが、おいしいところはマギー・スミスが全て持っていきますwこれだけは先に伝えておきましょうw


マギー・スミス演じるミュリエルが教えてくれること

ラストもそうでしたが、キャラクターが一番立ってたのはマギー・スミス演じるミュリエルだと思いました。最初の描写と最後の描写で最も変化があったのは彼女だと思うのです。

ミュリエルは最初の病院の描写で完全なる人種差別主義者でした。黒人の医者を拒否していたので。インドに行ってからも食事に手を付けず、インド人を差別します。

しかしインド人の医者の腕が見事だったり、小さなエピソードの積み重ねが彼女を変えていきます。そしてホテルのメイドの実家で食事をする姿を見せたりもしていくのです。車椅子生活で立てない日々でしたが、意を決して自ら歩く力強さも見せるのです。

最後に彼女が見せた決断もその成長故です。そして彼女は最後普通に歩いてました。あの笑顔と普通に歩いてる姿に心温まり感動をしました。

彼女はたくさんの偏見を持って生きていました。私達も実はそうではないでしょうか。できる事をできないと決めたり、自らの根拠のない価値観で人を差別したり。

そういったことが小さなエピソードで自然と是正されていくときっと成長できるのです。
「直そう」と思って直すものではなく「結果的に直った」が理想だと感じました。そんな機会は勇気を重ねることできっと迎えられるのです。勇気を持って日々生きていきたいものです。


トーマス・ニューマンのスコア相変わらず素敵

本作の音楽はトーマス・ニューマンが担当しています。
『007スカイフォール』で今年度のアカデミー賞作曲賞にノミネートされています。
『グリーン・マイル』や『シンデレラマン』でも有名です。

彼のスコアはどこか優しさを感じることができるスコアが魅力的です。本作はそのトーマス・ニューマンらしさにインドらしさが融合し、映画を盛り上げる素晴らしい演出装置として機能していました。

映画の中で自然に溶け合いながら後で音楽を聞きなおすと気分が良くなるのです。映画も音楽も何度もリピートしたくなる素敵な出会いでした。


傑作だけれど「傑作!!」とは違う不思議な魅力

本作は傑作ですが、「素晴らしい!」「傑作!」というテンションではないのです。何か身体がこの映画をもう一度欲してるのです。とても素敵な映画で傑作だけれども熱量よりも身体に染みこんだ感じがするのです。

インドという国もそうなんですよね。アメリカやフランスに行った時は「また行きたい!」と思ったのですが、インドは帰ってきて数ヶ月したらじわじわ行きたい欲が出てきたのです。

それに似た感覚を抱いています。不思議なものです。でも大好きな映画。

おそらくこの映画は好き嫌い分かれる映画でしょう。なぜなら主人公たちが老人でインドが舞台と異色の設定だからです。映画の完成度はお見事ですが単純に好き嫌いが割れるという類でしょう。美人な女性だと誰しもが認めても恋愛対象かは人それぞれ、というのと同じです←

インドが舞台の素敵な素敵な映画。予告編観て何か良さそうと思った方は楽しめると思います。是非不思議な魅力に溢れる映画を体感してみてくださいね。